2024.8.22「ちょうどいい歯ッピー」での質問①
先日5年前に作った入れ歯が壊れてしまって近所の歯医者さんに行った所、その割れた入れ歯を先生が一生懸命修理を始めました。
私が新しい入れ歯を作って下さい、とお願いした所、うちは今保険で入れ歯を作ってないとの事。
理由を聞くと今保険で入れ歯を作ってくれる技工士が見つからないという事でした。
そんな事って許されるんでしょうか?他の病院に行けば作ってもらえるんでしょうか。
ご質問ありがとうございます。
やっぱりねえ、そういった病院が出てきたんですよね、許されないっていうよりどうしようもないんですよね、
これ、おっしゃる通り今これ歯科医師の間で大問題になっていて、もう少しで日本全体の社会問題になっていくって
言われてますよね、それはね、とにかく技工士のなり手がいないんです。
今、全国の技工士学校がほとんど定員割れなんです、例えば今年鹿児島県全体で技工士になった人は、県全体でですよ、
5人しかいなかったんです。
ほどんどの学校も自治体の補助金が無ければ経営が難しい。ただ学校もやめるわけにはいかないんですよね、
技工士がいなくなるって事は国民生活に深く関わるからなんです、理由は年収が低くて仕事がきついからです。
技工士になっても20代で6割は辞めちゃうんです、いま技工士はほとんど60歳以上です、
もちろんこれはかつての歯医者の責任がめちゃくちゃ大きいんです、それを打開する為に
今、歯科医師会は歯科技工士会と一緒に頑っているんですね、ただここで説明しておきたいのは、歯医者って
私もそうなんですが口の中の事はほとんどオールマイティーでやるんですね、
例えばインプラントもすれば入れ歯、これは保険も自費も含めてね、ただ技工士ってほとんどの人は専門医に分かれていくんですね
入れ歯だけ作る技工士の先生もいれば被せものだけ作る技工士もいるんです、
その中で特に保険上でお金にならないのが入れ歯なんです、その上作るのが大変なんですよね、
しかも下手をすると会社側も技工士側も赤字になるんです。確かに医療はお金じゃないっていう面はあります。
赤ひげ先生のような先生を一般の方が求める気持ちはよくわかります、
ただやっぱり技工士の先生にも家族がいて生活がある訳です、
それを受けて2か月前の6月に保険改正があって技工士加算ていう点数が導入されたんです。
これは本当に画期的な事なんですけど技工士の人数を増やすまでにはとても及ばないんです。
この質問者が経験した様に今後うちは保険で入れ歯を作れません、
理由は作ってくれる技工士がいないから、という歯医者が急増していくと思います。
むしろこの現象を技工士の先生方は利用していただきたいですね。
もう一つ今社会問題になっていくだろうっていう大きな事があってそれ日本から抗生剤がなくなっているんです、
以前政府がジェネリックの抗生剤の成分を検査したらその一個一個の成分が均等じゃなくて偏りがあることが分かったんです。
でずっと生産ラインが止まっちゃてるんそうなんです。これは歯科のみならず医科においてはもっと深刻らしいんです、
とにかく歯科でも抗生剤を絶対使わないといけない症例はいっぱいあってきぬた歯科では今何とかなっていますけど
今の入れ歯の話じゃないですけど抗生剤が手に入らないのでうちはその治療は出来ません
と言ってくる、言わざるを得ない歯医者が出てくると思います。
これらの問題は歯科業界の努力だけではどうにもならない、国民の健康、生命に
関わってきますから、国として何とか動いてほしいと思いますよね。
もしリスナーの皆さんの中にそれこそそれらの問題に顔の効く方がいたら是非お力添えを頂きたいと思います。
その問題を打開できる方がいたら私たち医療人にとってはヒーローになると思います。結果、国民のヒーローになる。
その位みんな困っています。
私たちの中では当たり前の様に「どうしようどうしよう」と語られているんですけど、
国民の皆さんの耳にはまだ届いていない現象っていっぱいあるんですよね。
で、国民の皆さんにその話が届く頃にはもうどうにもなりません、みたいな。
そういう話なんですよね、何とか皆さんにそういう問題を皆さんに気づいていただいて何か力になれる方がいたら
ご尽力いただければ日本全体の為になると思うんですよね。

