当院は、今春から今のスタッフに加え、多くのスタッフが増えます。
新人たちを迎えるにあたり毎年そうですが、私はしっかり教育をする準備をします。又、それを常にグレードアップしていきたいと考えています。
可能であれば、当院に勤務することにより医療人としてだけでなく、社会人として素敵な人になってもらいたいと思っています。
それにあたり大切な事は私自身の考え方を言葉で表すことだと最近考えています。思えば、私はどちらかというと人付き合いを感性のもので生きてきました。
こんな場面では、こう話した方がいいとか、こう説明すれば納得しやすいだろうとか、こんな風に挨拶すれば相手は気持ちいいのかな・・・とか・・・
ただ、今までの経験から、その教育は場当たり的なものではダメなのです。マニュアルにしないといけない。その上で難しいのは、私自身の考えを言葉にすることは大変時間がかかり、又、哲学みたいなものになってしまい面白くない。
そこで、その様な教育本を3年ほど前から読むようにすることにしました。50歳になるまで私はそういった本は目にすることはあってもしっかり読むことはありませんでした。
どの本も当たり前のことしか書いておらず、私にとっては全く参考にならなかったからです。
しかし、いざ自分で書くとなると、それらの本は当たり前であっても若い彼らにわかりやすい文章にしていて参考になると最近になって気が付きました。
ところで、その様な意図を持って先日、医療専門の本屋で数冊、本を買ったところ、たまたま以前、私がライバルだと思っていた歯科医が書いた本がその中にあったのです。
私は、驚きました。彼とは、以前何度か食事を共にしていて、他の病院の歯医者に自分のやり方を教える人ではないのです。ましては、それを本にして売るのには、色々な理由があると思うのですが、私にとっては大変興味深いものでした。
特に読んで感じたのは、彼は私にとって全く正反対の人間だったのです。
彼が本で書いているのは、自分が人に対して高飛車でプライドが高く・・・、それがある出来事により気付かされ、それを改善すべく奮励努力したことが書いてありました。
私は、それを読んで感激しました。
早速、その話を全体ミーティングで当院のスタッフが揃っている前で読んできかせました。その上でみんなに話したことは、人生の中では、必ず人生をがらっといい方向に変えてしまう出来事があり、又、言葉がある。ただそれを見逃してしまうと残念な人生になってしまう。
そのチャンスは誰にでも、訪れてくるもので、それに気付くと人生は有意義なものになると・・・
ただ、言いながら、本当は私にはその出来事がまだない事に気付きました。
今年、55歳になる私に果たしてその様な出来事は訪れるのでしょうか。もしくは、とっくに見逃してしまったのでしょうか。